
~この記事でわかること~
・電力メーターでおうちの電力使用量を計測している
・スマートメーターは遠隔で電力使用量の計測ができる!
・新電力についても理解しよう!
皆さん、自宅の電力メーターを見たことありますか?
リノベーションだけでなく、住宅設計において重要な基盤となる設備工事。その中でも、欠かせないものが「電気」。どのおうちにおいても電気工事は必須工事ですよね。
コンセント、スイッチや照明計画については細かく打ち合わせをしたり、取り合いなどを考えながら慎重に設計をしたりしていると思います。しかし、電線や電力メーターについてはあまり得意ではない若手デザイナーの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、基本的な電力メーターの見方や新しい電力メーター「スマートメーター」をご紹介していきます!デザイナーとして必ず知っておきたい基本の知識ですので、ちょっと不安かも…….という方は、ぜひ何度か読み直して頭に入れておくようにしましょう!
目次
電力メーターとは?
ではまず、住宅における電気メーターの役割についてさらっと確認していきましょう!
電気メーターは、電力量計ともいわれ、その家庭で使用されている電気の使用量を計測しています。法令に基づいて、国の定める期間で計量が正しく行われているか確認をしなければなりません。
また、住宅では電気メーターは主に以下のような場所に設置されています。電力メーターは電力会社が管理している為、個人で交換したりする事はできません。
電力メーターの設置場所の例
・玄関付近の外壁
・共有廊下のメーターボックス内
※他の契約メーター(ガス、水道)も同じ場所に設置してあることがあるので間違えないようにしてください。
集合住宅(マンション)の場合の責任分界点(電力会社とマンション管理組合の管理責任範囲を分けている場所)はガスの場合と少し異なります。責任分界点は電柱からの引き込みの場合は1号柱(受電のためにマンション敷地内に初めて立てられる電柱の事)、地中配線の場合は高圧キャビネットの配電線と構内配線との接続点となります。
・電柱からの引き込みの場合
引用:関東電気保安協会HP
・地中配線の場合
引用:関東電気保安協会HP
集合住宅の敷地内の電気配線でも、電力メーターまでが共用部分、電力メーターから住戸内は専有部分になるのが一般的です(マンションの中には電力メーター以降でもパイプシャフト内の配管は共用部分扱いとしている場合もあります)。
専有部分の電気配線の修理や交換の費用は、区分所有者が負担するのが一般的です。電力メーターは通常10年ごと(種類により5年・7年ごと)に取り替える必要がありますが、電力会社の所有物なので取り替え費用を請求されることはありません。
引用:東京都計量検定所
必ずどこかに電力メーターが設置されていますので、まずは自分の自宅の電力メーターの位置・記載内容を一度確認してみると良いかと思います。
電力メーターの種類とは?スマートメーターって何?
さて皆さん、電力メーターにも種類があることをご存知ですか?
一般家庭に設置されている電力メーターには「従来型(機械式)計器」と「スマートメーター」の2種類があります。以下に主な機能をまとめてみました。
「従来型(機械式)計器」
引用:東京電力パワーグリット
・電気量(正)の計測・表示のみ
・検針員による目視検針が必須
「スマートメーター」
引用:東京電力パワーグリット
・電力量(正/逆)30分ごとの清算値の計測・保存
・電流値、電力の計測
・通信機能、開閉機能、アンペアブレーカー機能、イベント記録 等
・自動検針が可能
・HEMS等の宅内機器への電力量通知が可能
※HEMSとはHome Energy Management Systemの略で、家庭内で使用している電気機器の使用量を把握する機器です。
現在、従来型計器からスマートメーターに順次切り替えが進められており、2024年度にはスマートメーター普及率100%を目指しています。
では何故スマートメーターへの切り替えを進めているのでしょう。
スマートメーターについて詳しくご紹介します。
スマートメーターとは
スマートメーターとは通信機能を備えた電力メーターです。30分ごとに電力使用量を計測し、通信機能を使って電力会社に送信します。
スマートメーターの主な機能は以下の3つです。
①30分ごとに電気使用量を計測
従来は検針員が月に一回それぞれのおうちに伺い、電力使用量を検針していましたが、スマートメーターは30分ごとに電力使用量を計測します。
②通信機能を搭載
従来は電力使用量を計測する為にそれぞれのおうちに伺っていましたが、通信機能を使用し電力会社(送配電会社)に送信することで、遠隔で電力使用量を計測することが可能となりました。計測だけでなく、電気の使用開始や停止も遠隔でできるようになりました。
③宅内向け通信機能を搭載
スマートメーターで計測した使用量をHEMS等でリアルタイムに確認することができるようになりました。
その結果、そのデータを省エネへの取り組みや最適な電気料金プランを選ぶ為に活用する事が可能になりました。
またスマートメーターから得られる電力使用量をもとに、そのおうちの生活スタイルを把握し、高齢者の見守りサービスにも活用する動きも進んでいます。
引用:東京電力パワーグリット
このようにスマートメーターは電力使用量の計測の効率化だけではなく、幅広い用途での活用が期待されています。
電力メーターの見方:従来型計器編
では、ここからは実際の電力メーターの見方を紹介していきます。
従来型計器の中でも「アナログ式誘導型電力量計」と「電子式電力量計」に分かれます。
※アナログ式誘導型電力量計
引用:東北電力
電気の消費量はkWh(キロワットアワー・1時間当たりの消費電力量)という単位で表され、電力メーターにもkWhが使われます。
電力メーターには今まで使用した積算の電力量が表示されています。積算の電力量から先月の電力量を引くと、その月の電気使用量が分かります。
電子式電力量計は電力使用量がデジタルによって表示され、時間帯別の電力使用量を計測でき、オール電化のおうちなどに使用されます。
電力メーターの見方:スマートメーター編
次に、「スマートメーター」の見方です。
スマートメーターもkWh(キロワットアワー)が使われますが、従来型計器と異なり小数点まで読み取ります。
また、電気使用量と売電量(太陽光パネルなどを使用し売電している場合)が10秒おきに交互に表示されます。「矢印がない画面」が電気使用量となり、「矢印がある画面」が売電量となります。
引用:電ガススイッチ
リノベ時に確認したいチェック項目3つ!
それでは、リノベーション、特にマンションリノベの工事前に必ず確認したい電力メーターのチェック項目を3つにまとめました。
①電力メーター及び分電盤の位置の確認
まずは、現地調査時に必ず電力メーターと分電盤の位置を確認を行いましょう。
マンションの場合は、お部屋の玄関の隣にあるメーターボックス内か玄関の近くの外壁に設置されている場合が多く、分電盤は玄関ドアの上や廊下の壁、洗面所にある場合が多いので、目視で確認し、その後必ず全体+細部(文字や契約番号がわかるように)の写真を何枚か撮影しておきましょう!
スマートメーターの中にアンペアブレーカーの機能が内蔵されている場合もあります。
②電力メーターの種類及び分電盤のアンペア数の確認
次に、先ほど紹介した電力メーターの種類を確認しましょう。
また、分電盤はアンペア数とブレーカーの空きも確認しましょう。アンペア数の確認は電力メーターに記載のアンペア数ではなく、ブレーカーに記載のアンペア数です。
③注意事項を管理会社に問い合わせ
ここまでメーターの確認が終了したら、最後はメーターに関する注意事項を管理会社に問い合わせをしましょう。マンション全体で電力会社と契約している場合は電力メーターを変えられない場合もあります。また、アンペア数に制限があるマンションもあります。リノベーションの設計前に管理会社に確認をすることをお勧めします!
アンペア数を変えたい場合は、契約している電力会社に連絡をし、交換してもらいましょう。
新電力について確認したいチェック項目3つ!
最後に、みなさんは電力の自由化について知っていますか?
2016年4月より電力の自由化がスタートし、従来の電力会社だけでなく、異業界の企業も電力事業に参入してきています。新たに参入した電力の小売業者を新電力と呼びます。
その結果お客様自身でライフスタイルに合った電力会社を自由に選択することができるようになりました。電力会社ごとにライフスタイルに合った様々なプランや、ガスや携帯と合わせたプランなどが出てきています。
リノベーションの機会に電力会社の見直しをするお客様もいらっしゃると思います。その時の注意事項をまとめました。主にお客様自身が行う手続きですが、聞かれた時に答えられるようにしておきましょう。
①マンションの電力の契約形態を確認しましょう
電力の自由化は戸建てだけかと思いきや、マンションでも電力の契約形態により各住戸で電力会社を選ぶ事は可能です。
マンションの電力契約は「低圧契約」と「高圧一括受電契約」の2種類があります。「低圧契約」の場合は電力会社を選ぶことができます。高圧一括受電契約はマンション全体で電気契約をしているので電力会社を選ぶ事はできません。
契約形態の確認方法は管理会社に確認するか、または低圧契約の場合は電力会社から請求書が届きます。
②電気プランの確認を行いましょう
お客様からどのプランがオススメかと聞かれることもあります。各電力会社から色々なプランが出ているので、まずはシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
以下サイトのように電気料金を一括でシミュレーションできる比較サイトがあるので活用しましょう。
エネチェンジ
価格.com
③従来型計器からスマートメーターへの交換手続きを依頼しましょう
新しい電力会社が決まったら、新しい電力会社に連絡をしましょう。その時にスマートメーターの交換も依頼をしてください。スマートメーターは電力会社の所有物なので勝手に交換する事はできません。スマートメーターへの切り替えに伴う費用負担は基本的にありません。
また、特殊な場合を除き立ち合いも不要です。
なお、スマートメーターに交換する時に15分程度の停電がある場合があります。(電力会社により異なります。)
最近では「スマートメーターの交換費用を半額にします。」という電話などもあるそうですがそれは詐欺の可能性が高いので、お客様でそのような勧誘があった方がいた場合は注意喚起を促してください。
さて、今回は電力メーターの基本についてご紹介をしました。
初めてメーターを目にする際は、「何をどう見るの・・・?」と全く検討がつかず不安になりますが、一度理解してしまえば難しいことはありません。まずは電力メーターについて理解し、そして既存の電力メーターをしっかりと読み取れるようになりましょう!
また、新電力、スマートメーターやHEMSなどの情報は定期的に取り入れていきましょう!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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